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今さら感想:「アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~」(特定シーンのみ)

アイカツ映画「アイカツ! 10th STORY ~未来へのSTARWAY~」の全体感想は、別記事でちょっと雑に文章を書きました。
こちらでは、一点集中で「ここが本当によかった」という一番好きなシーンを紹介させてください。アイカツ映画の脚本、すごすぎる。

アイカツ映画のシーンの中で個人的に一番好きだったところは、ちょっとマイナーかもしれないですが、いちごと蘭が二人でギムレット飲んでる時のやりとりのシーン。
これ、本当にいろんなものを感じ取れて、観るたびに「深いなぁ」「分かるなぁ」という想いになるので、是非紹介したいなと。

※以下は妄想/予想込みです

 

ギムレット飲んでるシーンのちょっと前からの流れがよい。
楽しい鍋の時間で最後に、泥酔状態でタクシーに乗ってたユリカ様が、『大丈夫なのよ、どこに立ってたって・・・』という風に言ったあと、それぞれが大事な仕事に向き合って、なんだけど、何かしら息抜きをするために二人が部屋を出てきて。ここでは、それぞれがまだ何かを決めかねている。

 

そこから、深夜にギムレットを作って乾杯。
カクテルの感想という自然な話の流れから、蘭が『積み上げていくしかないから』とつぶやいた後、ちょっと思い悩むような表情をするんだけど、そこでいちごがちょっと目を伏せがちに思い遣って、でも何も言わない(言えない)のが、すごく良い。

ここは、映画前半、まだ全員が高校生だったときに、蘭が『お芝居に挑戦しようと思う〜役者になれる』と話したときに、いちごが間髪入れずに『大丈夫!』って言ったシーンとも対比になっている。
いちごも蘭も、個々人の仕事の細かいところまでは分からない。昔よりも分からなくなってる。だからこそ、仕事で各人が思い悩んでいることに対しても、軽々に「大丈夫」とは言えないよね、という、いちごの逡巡が表現されているなと感じた。

池袋のコメンタリーでもあったけど、大人になると、仕事は自分でというか、一人で向き合わざるを得ないことが増える。
そういう「分かち合うことの難しさ」は実体験として持っているし、そういうもどかしさとか、何も言えないことへのもやもやとか、そういった感情が伝わるシーン。

 

なんだけど、そこからの展開も本当に良い。

いちごは目を伏せちゃうんだけど、すぐに蘭が言葉を続けて『でも』と言ったときに、いちごの目の色が変わる。さらに蘭が『いままた変わるときだ』って前を見据えた言葉を発する。

コレは蘭による、自分自身への激励でもあると思うんだけど、それを受けていちごも『私ももっと、もっともっと、って思ってる』っていう風に話す流れは本当によい。

 

それぞれ、今抱えている悩みとかの詳細は察しきれない。
察しきれないし、分からないんだけど、お互いが、「前を向いて・上を向いて進んでいく」というファイティングポーズが変わっていないことを確認し合っているんだと思う。蘭の『変わらないことはある、よな』というのも、まさにそういうセリフだなと。

 

で、そこからの『ここまでは来られた』。このセリフは映画の中で一番刺さった。色々思い悩んだり、立ち止まったり、時には後ろに下がったりしたこともあったかもしれないけど、それでも前に進んできたし、積み上げてきたものがあるから、これからも頑張れる、というメッセージ。

映画の外にいる自分も、今までのことを振り返って、「確かに、ここまではこられたなぁ・・・」とハッとさせられたし、まだ頑張れるな、って感じた。

 

そしてこの後のシーン。
お互いが何かを聴いたり考えたりしていて、その詳細は分からないままなんだけど、最後に「それぞれが思い悩んだ時・頑張らなくちゃいけない時に、MY STARWAYを聞いている」ことが分かるのが本当に良い。

 

ギムレットを二人で飲むシーンを振り返っても、22歳のいまのいちごは、蘭に対して「大丈夫!頑張ろう!」とは言ってくれない。言えないということも本人が一番わかっている。なんだけど、過去のいちごが、あおいが、そして蘭が、それぞれに「ここまでやれてきたよね!大丈夫!頑張ろう!」って言って、それぞれの背中を押してくれている。

一人で向き合っているんだけど一人じゃない、今も支えてくれている、という確かなつながりをエネルギーに、それぞれが目の前のことを頑張って、乗り越えていこうとしている。『ここまではこられた』し、『この道の先ならきっと大丈夫』だと。

 

ギムレットのシーンは、時間にして2〜3分だと思うんだけど、その短い時間に違和感なくこれだけの情報が入ってるんだなって、本当に感動したので、切り出して記事にしてみました。
こんな密度で脚本を書いていることが凄いなと思ったし、こんな素敵な脚本に巡り合わせていただいたことに感謝しかないです。ありがとうございました。


アイカツ!が何かの形で今後も続くことを、心から願っています。