日常。

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作曲者を軸に振り返る「アイカツフレンズ!」/未来への願い

アイカツフレンズ!」が来週で最終回を迎えます。

アイカツシリーズは無印から全話視聴しているのですが、アイカツフレンズからは楽曲の位置づけも大きく変わったこともあってか、個人的には楽曲にあまり満足できないシリーズになりました。
誤解を招かないよう補足しておくと、満足できないというのは、曲の絶対的なクオリティが低い、というよりは、楽曲の多様性が薄いというか、「なぜか他で聴いたことある感覚」が抜けきれなかった、というところが要因と考えています。

とはいえ!こんな雰囲気だけの感想で作品の評価を下すのはよろしくない!評価まで踏み込むなら少なくとも何かしら根拠があるべき!、ということで、「他アイカツシリーズと比べたときの楽曲分布の特徴」を、作曲者軸で見ていくことにしました。

何はともあれ:データで語っていく

アイカツフレンズ!」の楽曲28曲(手集計なのでヌケモレあったらすみません。他シリーズも同様)について、作曲者ごとの曲数をまとめた図が下記です。
なお、「アイカツフレンズ!」は、他シリーズと比較しても作曲者が連名になっているものが多く(28曲中6曲。他はスターズで1曲だけ)、連名については2名に0.5曲ずつのカウントとしました。

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アイカツフレンズ!」作曲者分布

偏り/分散に関連する指標としては:
1)作曲者1名あたり平均曲数 2.80(シリーズ最高)
2)TOP3作曲者の占有比率 60.7%(シリーズ最高)
3)1曲(以下)しか関わってない人の曲数比率 10.7%(シリーズ最低)
4)放送期間1年あたりの作曲者数 6.67(シリーズ最低)


ということで、感覚で思っていたことがデータでも割とハッキリ裏付けられる結果になりました。
作曲者の方の創作力への尊重が大前提にあったうえで、あえてわかりやすく語るのであれば、どうしても、作曲者が同じことで作風が似てしまうことは否めないと思います。個人的には、作曲者ごとに作品の色はハッキリしていたほうが好きなので、これ自体を悪く言う意図は全くありません。
ただ、1名あたりの曲数やTOP3作曲者の比率の高さ、関わっている作曲者の人数の少なさは、同じような曲調の楽曲が増える強い要因になるので、作品を観ている人にとって、楽曲の多様さ(新鮮さを感じる楽曲との出会い含め)を求めづらい環境であったことは事実だったのだろうと思います。

 

他のシリーズはどうなんだ、比較だろ?

とはいえ、上記だけだと、フレンズを叩きたい目的のために都合のよいデータを引っ張ってきた、とも捉えることもできそうなので、他のシリーズの作曲者分布も参考に載せておきます。
まずはアイカツ(無印)から。

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アイカツ!」作曲者分布

偏り/分散に関連する指標:
1)作曲者1名あたり平均曲数 2.57
2)TOP3作曲者の占有比率 40.7%
3)1曲(以下)しか関わってない人の曲数比率 19.5%
4)放送期間1年あたりの作曲者数 8.57

 

「あれ?そんなにフレンズと変わらなくない?」という声も聞こえてきそうなのですが、実はそう、そんなに変わらないのです。フレンズほどではないにせよ、1人あたりの平均作曲数も多い。
ただ個人的には3)がダブルスコアになっている点が結構大きかったのではないか、と思っています。1曲(以下)しか関わらない人の楽曲は、少なくとも初登場時は一定の新鮮さを持って受け入れられるとするならば、それが「5週に1回(20%)」なのか、「10週に1回(10%)」なのかは、体感的に大きく違うのではないかと。どういうことかというと、フレンズでも、GBAとかアイデンティティみたいな曲が月に1回来てればだいぶ印象が(ry
無印アイカツは「真夜中のスカイハイ」とか「Growing for a dream」とか、本編にそんな関係ない曲でもガチってくる辺りが、視聴者としてすごく楽しかったのよなぁ。

 

 

つづいてスターズ。

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アイカツスターズ!」作曲者分布

偏り/分散に関連する指標:
1)作曲者1名あたり平均曲数 1.54
2)TOP3作曲者の占有比率 27.0%
3)1曲(以下)しか関わってない人の曲数比率 43.2%
4)放送期間1年あたりの作曲者数 12.00

 

集計していて一番驚いたのは実はスターズ。他シリーズと比較してもいろんな曲があるなぁと思っていたけど、まさかここまで差が出るとは予想していなかった。
作曲者あたりの楽曲数はアイカツ/フレンズの半分くらい、およそ2週に1回は新しい作曲者の提供曲が出てくるという、楽曲軸でアイカツ追っかけている勢には大変嬉しい作品。アイカツ無印から継続して楽曲提供している方と、新しく楽曲提供されている方が良い感じで混ざった結果の分布、という印象。
ただ、アイカツ無印の方が楽曲のバランスが良いと思ってしまうのだとしたら、スターズは「分散しすぎ」ということなのかもしれない。無印が『何人かの「核となる作曲者」が存在しつつも、そうでない楽曲も良い仕事をする』という構成だとするならば、スターズはやや「核」に欠けるポートフォリオだったのかも。
※スターズは作曲者が多いこともあってか、「君をロックオン」「MAKEOVER♡MAKEUP」「The only sun light」「Dreaming Bird」など、色んな方向から良い曲が飛んでくるので、個人的には嬉しすぎるシリーズでした

 

 

おまけ!:フォトカツ

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「フォトカツ!」作曲者分布

偏り/分散に関連する指標:
1)作曲者1名あたり平均曲数 1.41
2)TOP3作曲者の占有比率 29.0%
3)1曲(以下)しか関わってない人の曲数比率 51.6%
4)アプリ提供期間1年あたりの作曲者数 11.00(計算しやすいので2年としました)


フォトカツは無印とスターズ双方で楽曲提供してたので、作曲者も分散すると思っていたので予想の範囲内。
・・・この記事をまとめる過程でフォトカツ楽曲聴きなおしたりしたのですが、強い曲多すぎてヤバいですね。「ドラマチックガール」を筆頭に「ドリームバルーン」「アイカツメロディ!」「We are STARS!!!!!」など、OVAでやりたい放題やるアニメみたいな攻撃ステ全振りの楽曲がたくさんあって最高です・・・個人的には誰が何と言おうと「Jewel Star Friendship☆」が歌詞含め最高最強5億点ですが・・・なんとかフォトカツ復活してくれないものか。。。9800円で買い切りアプリでどうですか(謎


さらにおまけ!:アイカツ無印の1年目のみと比較

これまでまとめてきたところで十分かと思うのですが、とはいえフレンズは「短期で終わることがわかっていた」という背景もあると思います。特に、2年目が半年で終わるかもしれない、という状況で、新しい楽曲を依頼するのは難しいと思います。
ということで、アイカツ無印全体ではなく、1年目だけのデータをみてみましょう。

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アイカツ!」1年目のみ 作曲者分布

偏り/分散に関連する指標:
1)作曲者1名あたり平均曲数 2.18(フレンズ→2.80)
2)TOP3作曲者の占有比率 58.3%(フレンズ→60.7%)
3)1曲(以下)しか関わってない人の曲数比率 25.0%(フレンズ→10.7%)
4)アプリ提供期間1年あたりの作曲者数 11.00(フレンズ→6.67)

 

TOP3への偏り傾向こそフレンズに近づきましたが、他の要素で乖離がある状況は変わらず。逆に3)、1曲しか関わっていない人の比率はシリーズ全体(3.5年)で見たときよりも高くなっています。25%なら「月1回は新しい作曲者の手掛けた楽曲が登場する」ペースですので、OP/EDがしっかりしていれば、それをつまみに1か月乗り切り、新しい曲を迎える、というサイクルが確立できそうです。ドラマ回とか、シナリオ的にはどうなんだ、と思うこともありましたが、楽曲提供の幅を広げる意味では有効に機能していたのかもしれません。

 

 

ほんとうに、作曲者の偏りだけが原因なのだろうか?

ここまで、「フレンズは他シリーズと比較しても作曲者が偏っている!だから相対的に楽曲に多様性が薄い!」という主張をし続けてきたのですが、実は、書いている本人も「それだけでは無いのでは?」と思っています。

ここからは完全に推測含んだ個人の意見になりますので、その前提で読んでいただければと思うのですが、「作曲者の多様性の無さに加え、歌い手さんの力量も、作品中で提供される楽曲のクオリティに影響しているのではないか」というのが個人的な感想であり、結論です。


個人的に、声優さんの楽曲が好きで、いろんな曲を聴いたりライブに行ったりするのですが、正直なところ、歌うまい声優と、そうでもない声優さんは明確にあるなぁ、と感じます。
歌のうまい声優さんを追いかけていると、特徴として「いろんな切り口の楽曲を歌っている」というのがあります。水樹奈々さんは分かりやすい例ですが、色んな作曲者とタッグを組んでたくさんの世界観を表現できる方が多いです。
最近だと鈴木みのりさんとか東山奈央さん、大橋彩香さんなどは、歌うまい声優さんに分類できるように思います(他にもたくさんいます)

 

裏を返すと、作曲者が歌い手を振りまわすことに一定の限界がある以上、作曲者のポテンシャルが歌い手によって制約を受けうるのではないか。

 

「作曲者の重複」と「歌い手の引き出しの幅」、この2点が、アイカツフレンズの楽曲に驚くような輝きを感じなかった理由なのではないか。
歌うことが本業だった方々が歌唱担当をしていた従来シリーズとの違いは、単なる歌唱のうまいヘタだけではなく、作品中の楽曲を作るうえで制約条件として働いたのではないか、と思っています。

 

それでも:アイカツシリーズとその楽曲に期待をし、願っている

10月から「アイカツオンパレード!」が始まります。
アイカツシリーズの売上はバンナムの決算で開示されているのですが、ここ数年間、低調な状態が続いており、正直なところ、来年4月以降「アイカツ」の文字を見ることができるのか、それすら分からない状況だなと感じています。想像したくはないですが、オールスター編を花道に、シリーズ完結してしまうのではないか、など。

 

それでも。アイカツシリーズに対して、たくさんのファンの方が色んな切り口で支えていたり、期待を寄せたりしているのではないかと。
それぞれの人が惹かれているのは。キャラデザかもしれない。カードダスの遊びかもしれない。シナリオの良さかもしれない。
ただ、その中で私は、アイカツの「楽曲」に引き寄せられて、この作品を何年間も追い続けてきました。無印、スターズ、フォトカツ。延べ7年半もの間、心に残る楽曲をたくさん出してきたシリーズを、まだあきらめたくないし、まだ期待をしてしまう。

 

もっと多くの人に、もっと長い期間、もっと素敵なストーリーと楽曲を届けてほしい、それができる作品だと信じています。

 

10月からの新シリーズ、楽しみです!!